こんにちは。11月5日は、津波防災の日でした。
2011年の東日本大震災後、国・自治体に対し、防波堤や避難施設の整備、
観測体制の強化などを求める「津波対策の推進に関する法律」が制定されました。
津波防災の日は、この「津波対策の推進に関する法律」中で11月5日に定められた記念日。
毎年11月5日は津波対策について考え、安全を守るために津波への理解を深めようという日です。
そこで今回のコラムも、津波についてお話します。
地震とセットで警戒しなくてはならない津波被害。どう備えればいいのか、確認しておきましょう。
目次:
津波発生時はとにかく高台へ避難
地震の大きな揺れを感じたら直ちに海岸から離れ、
避難ビルや高台など、少しでも海抜の高い場所に移動するのが津波避難の鉄則です。
この時の注意点は、原則徒歩で避難移動すること。
自転車や車で避難すると交通混乱を招き、かえって避難に遅れが出てしまうからです。
ただし東日本大震災以降、巨大地震発生時の避難において
交通の方法に関する教則(国家公安員会)が見直され、
「避難のために車を使用しないこと」という文言が
「津波から避難するためやむを得ない場合を除き、避難のために車を使用しないこと。」と改正されました。
ここで言うやむを得ない場合とは、避難地点まで距離がある場合や、
体が不自由で避難するのに援護が必要な方のいる場合、
車で避難しても渋滞や交通事故のおそれが低い場合などを指しています。
これらのケースに該当し、車の使用を選択する際には、
道路の損壊、信号機の作動停止、道路上の障害物などに十分注意しながら運転し避難しましょう。
また車で避難することになりそうな人は、安全かつ確実に避難できるルートを
地震が起こる前にあらかじめ確認しておいてください。
高台に避難する際は山際の土砂崩れ・がけ崩れに注意すること、
ビル屋上に避難する際はエレベーターを使わず非常階段で避難することが重要です。
とにかく、まずお伝えしたいのは津波の恐れが少しでもあったらすぐ逃げてほしいということ。
できるだけ高いところへ一刻も早く避難してください。
津波警報・注意報を正しく理解しよう
津波の到達は、気象庁が発表する津波警報・津波注意報によってある程度予測することができます。
ここで改めて、津波警報・津波注意報の種類を正しく理解しておきましょう。
津波警報・注意報の種類
種類 | 発表基準 | 発表される津波の高さ | 想定される被害ととるべき行動 | |
---|---|---|---|---|
数値での発表 (津波の高さ予想の区分) |
巨大地震の場合の発表 | |||
大津波警報※ | 予想される津波の高さが高いところで3mを超える場合 | 10m超 (10m < 予想高さ) |
巨大 | 木造家屋が全壊・流出し、人は津波による流れに巻き込まれます。沿岸部や川沿いにいる人は、ただちに高台や避難ビルなど安全な場所へ避難してください。 |
10m (5m < 予想高さ ≤ 10m) |
||||
5m (3m < 予想高さ ≤ 5m) |
||||
津波警報 | 予想される津波の高さが高いところで1mを超え、3m以下の場合 | 3m (1m < 予想高さ ≤ 3m) |
高い | 標高の低いところでは津波が襲い浸水被害が発生します。人は津波による流れに巻き込まれます。沿岸部や川沿いにいる人は、ただちに高台や避難ビルなど安全な場所へ避難してください。 |
津波注意報 | 予想される津波の高さが高いところで0.2m以上、1m以下の場合であって、津波による災害のおそれがある場合。 | 1m (0.2m ≤ 予想高さ ≤ 1m) |
海の中では人は速い流れに巻き込まれ、また、養殖いかだが流失し小型船舶が転覆します。海の中にいる人はただちに海から上がって、海岸から離れてください。 |
※大津波警報は、特別警報に位置づけられています。
避難する際の参考となるこれらの津波情報。
実際に気象庁から発表されるのは、地震発生から約3分後が目安となっています。
しかし、停電によってテレビが見られなかったり、
震源が近いと津波警報よりも先に津波が到達してしまったりする恐れもあります。
正確な情報把握も重要ですが、地震の大きな揺れを感じたらすぐに避難行動をとることが何よりも大切だと覚えておいてください。
今からできる津波対策
津波に対して普段から備えておくには、津波ハザードマップを活用する方法があります。
津波ハザードマップは、各自治体が発表しているハザードマップのひとつで、WEBから確認することが可能です。
主な掲載内容は、浸水地域の予測や浸水開始時間、津波避難ビルの所在など。
大きな地震が発生する前に家族で津波ハザードマップを囲んで、
あらかじめ安全な避難経路を確認しておくことをオススメします。
さらに詳細に被災想定区域を確認したい時には、ハザードマップポータルサイト
https://disaportal.gsi.go.jp/を見てみましょう。
ハザードマップポータルサイトは国土交通省によるwebサービスで、
だれでもどこからでも地域の災害リスクを確認することができるサイトです。
津波ハザードマップ以外にも洪水ハザードマップや高潮ハザードマップ、
土砂災害ハザードマップなどを横断して一括で見られるので、
より安全な避難経路を選択するのに役立ちます。
なお、街の中には津波への注意を喚起する津波標識が設置されています。
この津波標識と各種ハザードマップを照らし合わせながら
実際に避難経路を歩いてみるのも有意義な避難訓練になるはずです。
さらに、いざ避難という時にすぐ行動に移せるよう、
非常持ち出し袋を準備しておくことも大切です。
貴重品や防災用具など、身動きがとりやすい範囲で持って逃げられるようにしておきましょう。
11月5日は津波防災の日 津波にどう備える?・まとめ
以上、巨大津波に対する備えについてご説明いたしました。
日頃の備え・心構えが非常時の避難行動に大きく影響します。
津波から身の安全をどう守るのか、今一度しっかりと考えておきましょう。
加えて、家屋の耐震補強についてもくれぐれもお忘れなく。
家が倒れてしまったり、脱出が不可能になってしまったら避難どころではありません。
耐震性を上げること、家具転倒を防止すること。ひとつひとつ確実にクリアしていきましょう。
参考文献
国土交通省防災情報のページ『津波防災の日(11月5日)について』『津波防災のために』