こんにちは。
6月18日午後10時22分頃、山形県沖で深さ14km付近を震源とする
マグニチュード6.7の地震が発生し、新潟県村上市で震度6強、
山形県鶴岡市で震度6弱の激しい揺れが観測されました。
山形県、新潟県、石川県能登で一時、津波注意報が発表された他、
山形県鶴岡市、酒田市、新潟県村上市、新潟市で9232戸が停電、
各地で液状化被害や家屋の倒壊などが発生しました。
熊本地震の時のように、繰り返しの地震が起こる恐れもあります。
しばらくは予断を許さない状況が続きますが、
被災地の皆さまにおかれましてはくれぐれも身の安全を第一に行動してください。
被害の拡大防止、一刻も早い復旧を願っております。
今回のコラムでは、罹災証明書について解説をしていきたいと思います。
地震などの自然災害被害に対する様々な被災者支援を受ける際に、
欠かすことのできない罹災証明書。
そもそも罹災証明書とはどのようなものなのか?
どうやったらもらえるのか?どんなメリットがあるのか?その使い道は?
ひとつずつ説明していきますので、是非とも最後までお付き合いください。
目次:
↓ 被災者支援の重要書類 罹災証明書の発行方法と使い道・まとめ
罹災証明書は被災者支援制度適用の判断材料
罹災証明書といっても、多くの人にとってはあまり馴染みのない言葉かもしれません。
罹災証明と書いて、読み方は、(りさいしょうめい)。
罹災証明書とは、地震や台風、豪雨などの自然災害や火災などで住居が被害を受けた際に、
家屋の被害状況を「全壊」「大規模半壊」「半壊」「一部損壊」等に分類して、
認定・発行される証明書のことです。
地震や大雨などの自然災害による被害の場合には市町村役場などの自治体が、
火災被害の場合には消防署が、罹災者の申請を受けて罹災証明書を発行します。
発行された罹災証明書は主に、各種被災者支援制度が適用できるかどうかの判断材料として活用されます。
■住家の被害の程度と住家の被害認定基準
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全壊
住家全部が倒壊、流失、埋没、焼失したもの。
または、住家の損壊が甚だしく、補修で元通りに再使用することが困難なもの。
具体的には、住家の損壊、焼失もしくは流失した部分の床面積が延床面積の70%以上のもの。
または、住家の損害割合が 50%以上のもの。 -
大規模半壊
住宅が半壊し、大規模な補修を行わなければ居住することが困難なもの。
具体的には、損壊部分が延床面積の 50%以上 70%未満のもの。
または住家の損害割合が 40%以上 50%未満のもの。 -
半壊
住家の損壊が甚だしいが、補修すれば元通りに再使用できる程度のもの。
具体的には、損壊部分が延床面積の 20%以上 70%未満のもの。
または住家の損害割合が 20%以上50%未満のもの。 -
一部損壊
住居の一部が損害を受けたが、損害内容が軽微で「半壊」に至らない程度のもの。
住家の損害割合が 20%未満のもの。
罹災証明書発行のメリット 使い道は?
続いて、罹災証明書を発行するとどのようなメリットがあるのか、一般的に適用される被災者支援制度の内容をご紹介していきます。
なお、細かい部分については各市町村で内容が異なってきますのであらかじめ問い合わせて詳細を確認しておくことをおすすめします。
① 公的支援
(1) 固定資産税、国民健康保険料の一時減免または猶予
被害を受けた家屋や土地の固定資産税や国民健康保険料の支払いが、罹災後の一定期間
減免または猶予される可能性があります。
(2) 被災者生活再建支援金や義援金の支給
被災者生活再建支援金が支給されます。罹災証明書に記載された被害の程度や、
世帯人数、所得によって受給額は異なります。
(3) 住宅応急修理制度
住居が全壊・半壊した場合、住居の修理にかかる費用を
国と自治体が一部負担してくれます。
また、被災した住居が修復されて再び住めるようになるまで、
優先的に仮設住宅や公営住宅に入ることが可能です。
(4) 災害援護資金の利用
自治体から無利息または年利3%で借入ができる資金。
貸し付けの限度額は350万円です。利用のためには所得制限もあります。
➁ 民間支援
(1) 金融機関から有利な条件で借入ができる
銀行などの民間の金融機関から無利息または低金利で融資が受けられる場合があります。
金融機関によって、金利や貸付額などの条件が異なります。
(2) 保険金の支給
保険に加入している場合、災害保険による保険金を受け取ることができます。
なお、地震保険については罹災証明書は不要です。
(3) 私立の学校の授業料減免
家族に私立の学校に通う子どもがいる場合、授業料が減免となる可能性があります。
うまく活用すれば被災後の生活再建の強い味方になりそうですね。
他にも様々な支援制度があると思われますので、
各市町村に問い合わせたり、ホームページで確認してみたりするのがよいでしょう。
罹災証明書のもらい方 発行手続きは?
各種被災者支援制度を受ける際の重要書類となる、罹災証明書。
最後に、罹災証明書のもらい方、取得方法をご紹介します。
① 申請用紙の入手
罹災証明書を申請する場合、まずは申請用紙を入手しなくてはいけません。
地震などの自然災害の場合には、在住の自治体で申請用紙がもらえます。
自治体のホームページからダウンロードもできるので、都合のいい方法を選びましょう。
なお、火災による被害の場合は、消防署で申請用紙をもらいます。
ちなみにピタコラム本社のある愛知県名古屋市では、市のHPトップから
『暮らしの情報▸届け出と照明▸申請書・届出書ダウンロード▸防災・交通安全関係▸
火災・救援の証明書など▸り災証明書の交付』と進んでいくと、
分かりやすい記入例とともに申請書がPDFでダウンロードできるようになっていました。
http://www.city.nagoya.jp/shobo/page/0000009109.html
➁ 申請用紙の記入
罹災証明書の申請用紙は各自治体によって書式が少しずつ異なりますが、
全壊、大規模半壊などの認定基準は全国統一です。
記入事項としては、申請者の住所、氏名、電話番号、生年月日、
罹災した年月日、罹災場所、住居の被害状況などがあります。
また、罹災証明書の提出先と使用目的(○○生命保険株式会社・保険金請求など)の他、
必要枚数などを記入する欄が設けられている場合もあります。
➂ 申請
各自治体の区役所や総合出張所にて罹災証明書の発行申請を行います。
申請者本人の都合がつかない場合、委任状があれば第三者が代理人として申請することもできます。
また、家屋の状態が分かるような現況写真が必要となるケースもあるので、
写真が必要かどうかを申請窓口に事前に問い合わせておきましょう。
④ 調査員による現況調査
罹災証明書の発行を申請すると、全壊・大規模半壊など被害の程度を認定するために
自治体から委嘱を受けた専門の調査員が現地を訪問します。
現況調査の方法は国が定めており、外観や住居の傾き具合、
屋根、壁、柱などの被害状態を確認する外観調査と、
家の中の損傷を調査する内部調査によって進行します。
なお内部調査は、申請者の申し出があった場合のみ実施されます。
程度の判定や調査方法に納得のいかない場合には、再調査も依頼可能です。
自治体においてその調査内容を確認し、必要があれば再調査が行われます。
⑤ 罹災証明書発行
以上の手順を経て、罹災証明書が発行されます。
被災者支援の重要書類 罹災証明書の発行方法と使い道・まとめ
罹災証明書を申請できる期限は被災してから一定期間で締め切られます。
被災してから2週間や1ヶ月間の申請期間となっている場合や、
半年以内なら申請可能となっているところなど、自治体によって様々です。
いずれにせよ、災害が発生したら早めの手続きをおすすめします。
罹災証明書の発行を申請してから証明書が発行されるまでの期間は、
これもまた各自治体や被害の状況によっても様々ですが、おおむね1週間以上
場合によっては1ヶ月以上の時間がかかります。
そこで、急いでいる人のために罹災届出証明書というものがあります。
罹災届出証明書とは、罹災証明書を申請したことを証明する書類で、即日発行されるものです。
被災者支援制度の利用申請に罹災証明書の代わりとして活用できる場合もあるので、発行しておくと安心です。
以上が被災者支援に不可欠な罹災証明書の概要です。いかがでしたでしょうか。
被災者支援制度をしっかりと活用するためにも、是非、頭の片隅に留めておいてください。