こんにちは。
4月に一年を迎えた熊本地震。
奇しくも4月は年度替わりで、各自治体で防災関係の支援制度が新しくなりました。
とくに今年度(平成29年度)は、熊本地震での深刻な住宅被害状況を受け、
多くの自治体で耐震診断、耐震補強を促進する動きが高まっています。
皆さんの家の耐震性はいかがですか?
ご自分の住まいの自治体が耐震化にどんな支援制度を実行しているか、ご存じですか?
この地震コラムでも以前、「補助金」をテーマに記事を掲載しましたが、
それから早くも二年が経ちました。
今回は、今年度(平成29年度)の補助金についてチェックしていきましょう。
※自治体によって「補助制度(事業)」「補助金」あるいは「助成制度(事業)」「助成金」と表現しています。
目次:
↓ 平成29年度の耐震補強、補助金を利用するなら今がおすすめ!・まとめ
住宅の耐震化はどこまで進んでいるのか?
政府が進める住宅の耐震化はどれぐらい進んでいるのでしょう。
目標は耐震化率を2015年に90%、2020年までに95%に引き上げることでした。
ところが新聞報道によると、47都道府県のうち、2015年までに目標をほぼ達成できたのは神奈川県のみ。2020年までの90%達成見込みは、北海道、東京、愛知、大阪、福岡など15都道府県とのことです(神奈川を含めて計16都道府県)。傾向として、マンション等が多い大都市圏の耐震化率が高く、老朽化した家屋が多い過疎地では低い───というのも考えさせられる結果です。
耐震補強が進まない要因の第一は、「改修費が高い」です。
そこでぜひ利用したいのが、自治体で行っている耐震診断や耐震改修工事に対する補助制度。全国1,694市町村のうち、80%以上で戸建住宅向けの補助制度を実施しています。
(国土交通省HP「地方公共団体における耐震改修促進計画の策定予定及び耐震改修等に対する補助制度の整備状況について」より)
まず耐震診断からスタート!
耐震補強工事の検討を始める前に、まずは耐震診断を受けて、耐震補強が必要かどうかを判断しましょう。建築したのが旧耐震基準だった1981年(昭和56年)5月31日以前なら、何かしら補強の必要が出てくる可能性が高いでしょう。
目安は「上部構造評価が1.0未満か、1.0以上か」です。1.0未満なら、耐震補強が必要です。
※耐震診断に関しては当コラムでも扱っていますので、そちらもご参照ください。
>耐震診断から始めよう、木造住宅の耐震補強。
>耐震診断で、木造住宅の耐震性を数値化する!
ここでは耐震診断に対する補助金について、いくつかの自治体を見ていきましょう。
■戸建住宅の耐震診断に対する補助金の例
耐震診断については、ほぼ無料の自治体が多いようですね。
補助の条件は、建築年以外にもいろいろあります。主なものは…
●市民が所有し、居住していること ※貸家は別設定になっているところもある
●建築年(昭和56年5月31日以前または平成12年年5月31日以前に着工)
●建物の構造(木造軸組工法、2階建以下) ※3階建も対象にしているところもある
●建物用途等(戸建住宅、併用住宅等) ※長屋・共同住宅等は別設定になっているところもある
●市民税・固定資産税など税金に滞納がないこと
●過去に耐震診断の補助制度を利用していないこと
……等々。自治体によって特定の条件を課していたり、条件の内容が異なっていたりしますから、お住まいの自治体にしっかり確認してください。
また、申し込みの受付期間や募集件数を限定している自治体もあります。ご注意ください。
耐震改修の補助制度も変化している!
さて、耐震診断で評点が1.0未満と出てしまったら、早めに耐震改修工事に取り掛かることをおすすめします。以下の図は、当地震コラムをよくご覧いただく方にはおなじみになっているかと思いますが、大切なことなので改めて掲載しておきます。
■評点による判定
0.7未満 | 0.7~1.0未満 | 1.0~1.5未満 | 1.5以上 |
倒壊する可能性が高い | 倒壊する可能性がある | 一応倒壊しない | 倒壊しない |
昨年(2016年)の熊本地震では耐震化が不十分な住宅の多くが倒壊しました。被害の大きかった益城町では、1981年(昭和56年)以前の旧耐震基準で建てられた住宅の32.1%が倒壊しています(国土交通省の調査)。
これまでも耐震化は進められてきたとはいえ、この熊本地震の被害状況から、耐震改修の促進にさらに積極的に取り組む自治体が増えています。
例として、ウッドピタ事業本部がある愛知県内を見てみましょう。
[愛知県名古屋市の場合]
2階建の住居の場合、これまでは1階・2階ともに評点1.0以上とすることで90万円の補助金が助成されていましたが、今年度より、1階のみ1.0とする改修でも段階的改修の補助金上限40万円が助成されます。
2階建の家全体を倒壊しにくくするというのは、改修工事の規模も大きくなり、なかなか高いハードルです。それよりも「まずはできることから」と、1階部分だけでも耐震化しようというもので、コスト的にも取り組みやすくなりました。
[愛知県岡崎市、春日井市の場合]
耐震改修の補助金額が従来の上限90万円から、平成29年度に限り30万円上乗せされ、上限120万円となりました。(改修設計費を含む)
※段階的改修については変わりません。
「平成29年度限り」というのがポイントで、耐震化になかなか踏み出せない市民の背中を押し、改修工事への早期の取り組みを促す効果が期待されます。
別のケースとして、東京都新宿区の例もご紹介しておきましょう。
[東京都新宿区の場合]
木造住宅密集地域など地域危険度の高い重点地区内の木造住宅について、平成29年度に限り、従来の耐震改修工事費補助に上限30万円を上乗せすることになりました。
「地域危険度の高い重点地区内」「平成29年度限り」と絞り込むことで、耐震改修の必要性が該当者に切迫感をもって伝わりますね。
木造住宅の耐震改修に係わる補助金制度の例
最後に、耐震改修工事等についても、前述の耐震診断で例に挙げた自治体の内容をご紹介しておきましょう。自治体によってはかなり細かく区分しているところもあります。参考にしてください。
※併せて2015年にご紹介した地震コラムもご参照ください。(金額は現在と異なる場合があります)
>「補助金」を確実に貰うための条件&方法
【2017年度(平成29年度)戸建て木造住宅の耐震改修に係わる補助金等】
■千葉市
■さいたま市
■横浜市
■名古屋市
■大阪市
■神戸市
担当部署との事前相談が必要だったり、自治体の耐震診断を受けていないと耐震改修工事の補助を利用できなかったりするケースもあるようです。
さらに補助金申請を自治体に行うには、補強計画を提出する必要があります。計画を作成するための建物調査期間も入れると、申請がおりるまでにはかなりの日数(何か月も!)がかかります。
最初に補助制度の流れも含めて全体を把握し、計画的に進めることが上手な活用法です!
平成29年度の耐震補強、補助金を利用するなら今がおすすめ!・まとめ
本文の中で「全国1,694市町村のうち、80%以上で戸建住宅向けの補助制度を実施」とご案内しましたが、裏を返せば、まだ20%弱の市町村が補助制度を設けていないことになります。予算の問題や、地震の被害想定の大小もあるのかもしれませんが、できるだけ早くサポート体制が調うことを願うばかりです。
耐震診断にしろ、耐震改修工事にしろ、補助制度を利用するのにどうしても付いてまわるのが各種の書類を用意することです。手続きの煩雑さが補助制度の利用の妨げにならないようにと、できるだけ簡単に申請できるよう自治体も努力しているようです。
私たちウッドピタも、補助制度の最新情報から手続きまで、お手伝いできることがたくさんあります。お気軽にご相談ください。