ウッドピタの地震防災コラム

ホーム  >  耐震診断から始めよう、木造住宅の耐震補強。

耐震補強2016年10月28日

耐震診断から始めよう、木造住宅の耐震補強。

こんにちは。
熊本地震から半年が過ぎました。まだ余震と見られる地震が続いています。
その間には、北海道や関東、東北でも……と言っているうちに、今度は鳥取で震度6弱!
被災された方々には心よりお見舞い申し上げます。
地震の一報を聞くたびに、「わが家の足元はいつ揺れるのか」…と心配が募ります。
皆さんのご自宅は、もう耐震診断や耐震補強をされましたか?
今回は、耐震補強の前に受けるべき木造住宅の耐震診断について、
改めてお伝えしたいと思います。

目次:

↓耐震補強の第一歩は「耐震診断」

↓木造住宅は本当に地震に弱いのか?!

↓建物だって健康診断を受けたい!

↓耐震診断には補助金も利用して!

↓木造住宅の耐震診断はどこを調べる?

↓耐震診断から始めよう、木造住宅の耐震補強・まとめ

耐震補強の第一歩は「耐震診断」

南海トラフ巨大地震や首都直下地震が心配される中、政府は住宅の耐震化を進めています。2013年(平成25年)の段階では耐震化率が約82%、耐震性のない住宅が全国に約900万戸。その中には木造住宅がかなり含まれていることは確かです。目標は2020年(平成32年、東京オリンピックの年!)までに耐震化率を95%に引き上げることです。

■住宅の耐震化の進捗状況
住宅・建築物の耐震化について

※国土交通省ホームページ「住宅・建築物の耐震化について」より

「では、うちもすぐに耐震補強を!」
といきたいところですが、いきなり補強をすると言っても、ご自宅のどの部分をどう補強すればいいのか分かりますか?
そこで耐震補強への足掛かりとなるのが、耐震診断です。耐震補強工事を行う場合、耐震診断で得た結果をもとに耐震補強計画を作成します。耐震診断はそれほど重要な役割を担っているのです。

木造住宅は本当に地震に弱いのか?!

ここで、木造住宅についておさらいしておきましょう。
日本では木造住宅が主流です。その多くは昔から伝わる「木造軸組工法」(在来工法)で、柱や梁などタテ・ヨコの軸が上からの重量を支え、筋交いなどナナメの軸が地震や風といった横からの力に抵抗します。さらに構造用金物で補強し、耐震性を高めます。
また、新しい木造住宅として「2×4工法」(枠組壁工法)というのもよく耳にしますね。これは北米の工法で、木製パネルで箱を造るようにして建てます。地震の揺れを壁や床、天井といった面で分散して受け止めるため、耐震性が高いと言われています。
ところが、1995年の阪神・淡路大震災や先の熊本地震では木造住宅の倒壊被害が多く見られ、感覚的に「木造住宅は地震に弱い」というイメージを世間は持ってしまったのではないでしょうか(2011年の東日本大震災は津波被害が圧倒的でした)。
建物の素材が耐震性を決めるわけではありません。「木造住宅だから地震に弱い」「鉄骨造りの住宅だから地震に強い」という安易な見方ではなく、むしろ見るべきは「耐震性の数値による客観的な評価」です。木造住宅も、鉄骨造りの住宅も、一戸ごとに構造を踏まえて耐震性を数値で表すことができます。その数値を導き出すのが耐震診断なのです。

建物だって健康診断を受けたい!

木造住宅向けの耐震工法を提供している私たちウッドピタ事業部では、耐震診断をよく人間の健康診断に例えています。健康診断で悪いところがないかをチェックし、もし異常が見つかれば二次検査を受けますよね。木造住宅の耐震診断も同じように、状況に合わせてチェックしていき、必要があれば手術=耐震補強工事を行うことになります。
建物の健康診断=耐震診断は、木造住宅の場合、次の3段階があります。

簡易診断 自分で耐震性をチェックする簡単な診断方法です。
「誰でも出来るわが家の耐震診断」(日本建築防災協会)に基づいてチェックします。
費用イメージ
一般診断 耐震補強が必要かどうかを判断する診断です。診断士(建築関係者)がお宅に訪問し、目視等で調査します。
精密診断 改修の必要性が高い建物に対して最終判断材料となる診断方法です。一部解体して土台、筋交いなどの状態を検査することもあり、一般診断よりもさらに精度が高くなります。

耐震診断には補助金も利用して!

ところで、国土交通省がアンケートで調査した『耐震診断を実施しない理由』には、「耐震診断にお金がかかる」「誰にお願いしてよいかわからない」が上位に挙がっていました。
費用に関しては、市区町村によっては耐震診断に対して補助金を出していたり、一般診断を無料で行っていたりしていますので、お住まいの市区町村で確認してみてください。市区町村の耐震診断を受けていないと、耐震補強工事の補助金が出ない場合が多いので、その点もいっしょに確認してくださいね。
また、行政に相談すると、信用できる診断士を紹介してくれます。もちろん、ウッドピタ事業部でもご相談を承っています。お気軽に声をおかけください。

木造住宅の耐震診断はどこを調べる?

木造住宅の耐震診断では、専門の診断士が実際に住宅の内外を見てまわります。屋根裏や床下も点検します。時間は、診断する住宅の規模や築年数の状態にもよりますが、だいたい数時間から半日ぐらいかかります。

場  所 調査内容例  
屋内 柱や壁の位置 屋内調査イメージ
柱や壁の寸法
筋交いの有無
壁の仕様
天井や壁の雨漏れ・クラック
小屋裏
(屋根と天井との間にできる空間)
金物の確認 小屋裏調査イメージ
柱の位置
屋根からの雨漏れ、湿度
床下 基礎コンクリートの圧縮強度 床下調査イメージ
基礎の位置
白蟻による食害
湿気や湿度
屋外 外壁の仕様 屋外調査イメージ
屋根の仕様
外壁クラック
基礎クラック
漏水

耐震診断は、上記項目の調査結果を数値化し、建物の「保有耐力」と「必要耐力」を計算します。そこから、その建物が持つ耐震強度「評点」(上部構造評点)を割り出し、判定します。

評点=保有耐力÷必要耐力

詳しくは次回の当コラムで説明しますが、ちなみに評点による判定は以下のようになります。大切なことなのでぜひ覚えておいてください。

■評点による判定

0.7未満 0.7~1.0未満 1.0~1.5未満 1.5以上
倒壊する可能性が高い 倒壊する可能性がある 一応倒壊しない 倒壊しない

さて、耐震診断を受けると決まったら、家の図面を用意しておきましょう。事前に図面があると、調査がスムーズに進められます。
浸水シロアリ被害など、住宅の❝病歴❞も大事な情報ですから、診断士に伝えてください。より正確な判断をするのに役立ちます。

耐震診断から始めよう、木造住宅の耐震補強・まとめ

長年住んでいるわが家の構造を、実はあまりよく知らない方も多いのではないでしょうか。普段は図面なんて見ませんし、屋根裏や床下に潜り込むこともなかなかありません。
耐震診断はわが家を知るよい機会になります。
木造住宅だから地震に弱いわけではありません。たとえ耐震診断の結果が思わしくなくても、ちゃんと弱点を把握し、的確に耐震補強をしていくことで、地震に強い木造住宅に造り変えていくことができます。
次回は、耐震診断の結果からわかる木造住宅の重要ポイントをご紹介していきましょう。