こんにちは。
震度7が2回も襲った熊本地震の発生から、あっと言う間に一か月が経ってしまいました。
余震は一向に収まらず、今後についても気象庁は「当分の間、最大震度6弱程度の地震に十分注意してほしい」としています。
なかなか復興が進まない中、被災された皆様の心身の健康が心配です。
それは他人ごとではありません。
私たち自身も、いつ大きな地震災害に見舞われるかわからないのです。
そこで今回は、かねてより警鐘が鳴らされている「南海トラフ巨大地震」について、
もう一度確認していきたいと思います。
目次:
↓南海トラフが震える日──巨大地震はいつ? どこで?・まとめ
災害は忘れた頃にやってくる。
東日本大震災から五年、被害の甚大さが風化したとは思いませんが、当事者ではない人々にとっては、それぞれの日常の中で何となく落ち着いてしまった感があったかもしれません。
例えば、南海トラフ巨大地震で大きな被害が想定されている愛知県で、地震に関する意識調査が行われました。平成28年1月の調査ですから、熊本地震の三か月ばかり前のことです。
調査の第一問目は「あなたは、南海トラフ地震の発生に関心がありますか?」というものでした。結果は90%近くの人が「関心がある」と答えていますが、「非常に関心がある」という人は39.5%と、以前の調査と比べて最も少なくなっています。そして「あまり関心がない」「全く関心がない」という人が以前よりもかなり多くなっています。
あなたは、南海トラフ地震の発生に関心がありますか?
この結果はちょっと怖いと思ってしまいました。東日本大震災のことをというより、地震そのものに対しての関心が薄くなりつつある?! 愛知県は数十年前から「東海地震がいつ起きてもおかしくない」と言われ続けている地域なので、逆に鈍感になってしまったのかもしれません…。
そんな心のゆるみも、今回の熊本地震を目の当たりにして吹き飛び、もう一度地震に対して気持ちをひきしめた人が多いのではないでしょうか。
南海トラフ巨大地震はどこで起きる?
南海トラフ巨大地震の被害想定などについては、この地震コラムで以前にもご紹介したことがありますが、ここでもう一度、南海トラフ巨大地震とはどういうものかを確認しておきましょう。
まず、南海トラフとは日本列島の太平洋沖、静岡県の駿河湾から九州東方沖まで続く、深さ4000m級の溝で、フィリピン海プレートがユーラシアプレートの下に潜り込んでいく境界にあります。総延長は約770km! それを聞いただけでも広範囲にわたる影響を推測させられますね。
その南海トラフ沿いの広い震源域で連動して起きると警戒されているのが南海トラフ巨大地震で、マグニチュード8~9クラスが想定されています。
もともとは、東海地震、東南海地震、南海地震の発生と、その三つの地震が連動して起こった場合の危険性が指摘されていたのですが、2011年の東日本大震災が予想をはるかに超えた範囲での大災害だったため、内閣府はさらに日向灘などを震源域に加え、「南海トラフ巨大地震」と名付けて複数の大地震が発生した場合の被害想定を行ない、防災対策にあたるようになったのです。
東海地震 | 駿河湾から静岡県内陸部合を震源域とする |
---|---|
東南海地震 | 遠州灘~三重県南東沖を震源域とする |
南海地震 | 和歌山県南方沖~四国沖を震源域とする |
1都2府26県におよぶ被害想定。
地震が恐ろしいのは、震源域だけの被害にとどまらず、周辺に広がっていくところです。内閣府が想定に基づいて指定した南海トラフ地震防災対策推進地域(つまり、地震で被害が出る可能性が高いから、予め対策を立てておくべき地域ということですね)は、1都2府26県、実に707市町村に及びます。また、南海トラフ巨大地震は東日本大震災と同じように海溝型地震となるため、津波避難対策特別強化地域も1都13県、139市町村が指定されています。皆さんがお住まいの地域はいかがでしょうか?
南海トラフ地震防災対策推進地域の指定
南海トラフ地震津波避難対策特別強化地域の指定
ただ、これほどまでに範囲が広いと、画一的な被害想定ではすみません。内閣府では市町村別最大震度一覧表を発表しています。場所によっては震度6強や7がズラリ! 弊社のある名古屋市千種区も最大値は震度6強でした。ちょっとドキドキしてしまいます。
……と、驚かされる情報ばかりですが、内閣府の発表はあくまでも最悪のケースの想定です。やみくもに危機感をつのらせるためのものではなく、「命を守るために、事前にしっかり対策を立てておきましょう」という呼びかけと捉えるべきでしょう。
カウントダウンは始まっている?!
では、いつまでに対策すればよいのか。そこが問題ですよね。巷には様々な予知情報や予言(?!)が出回ったりしますが、これだけ科学が発達し、地震の研究も進められている現代においても、地震発生の正確な予知は難しいというのが正直なところです。
それでも大まかな確率値を挙げることで、やがては起きる地震への警鐘としているわけです。
南海トラフ巨大地震の発生確率(算定基準日2016年1月1日)
領域または 地震名 |
発生した地震規模 (マグニチュード) |
地震発生確率 | 地震後経過率※ | 平均発生間隔 | ||
---|---|---|---|---|---|---|
10年以内 | 30年以内 | 50年以内 | 最新発生時期 | |||
南海トラフ | M8~9クラス | 20%程度 | 70%程度 | 90%程度 | 0.79 | 次回までの標準的な値 88.2年 |
70.0年 |
●2013年の南海トラフの地震活動の長期評価(第二版)で公表した数値から、経年により「地震後経過率」「最新発生時期」の値が変わっています。
「10年以内は20%程度なんだ」…と油断してはいけません。0%でない以上、いつ起きても不思議ではないのですから。南海トラフ周辺では約100~200年の間隔で大地震が発生しています。昭和東南海地震(1944年)・昭和南海地震(1946年)からすでに70年が経ちました。安政東海地震(1854年)からは160年以上経っています。南海トラフ沿いにおける大地震の可能性はじりじりと高まってきている!───と、心得ておくべきです。
※地震後経過率:最新発生時期から評価時点までの経過時間を、平均発生間隔で割った値。1.0になると平均発生間隔に達したことになる。
南海トラフが震える日─巨大地震はいつ? どこで?・まとめ
現在、地震予知については官民それぞれの研究機関で科学的に進められています。全国2000か所の地震観測地点からリアルタイムの観測データを得て防災対策に活かしたり、電磁波を利用して数日~一か月後の短期予知に取り組んだり、国土地理院の電子基準点データを使ってGPS技術で解析・地震予測を行なったり…と、手法はいろいろあるようです。それらが確立して、少しでも早く、正確な地震予知ができるようになれば、より適切な防災対策を施すことができますね。大いに期待したいところです。
資料に目を通していて、印象的な言葉がありました。研究者の「地震や火山の災害に関する正しい理解を深め、正しく恐れることで防災につなげていく」という言葉です。
そうですね! 確率等の数字に驚いているだけでは無為に時間が過ぎて行ってしまいます。
個人にできることは何でしょう。企業にできることは何でしょう。
私たちも正しく恐れ、できることからコツコツと──それが地震災害から命と生活を守る第一歩になります!
なお、以下のコラムにも南海トラフ巨大地震について掲載しています。併せてご覧ください。
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