こんにちは。
前回、前々回と、阪神・淡路大震災や東日本大震災で実際に見受けられた「避難所生活の問題点」をピックアップしてみました。大震災の貴重な教訓をぜひ役立てたいものです!
…と、そんな私自身も、「わが家の最寄りの指定避難所はどこだっけ?」と、
慌てて防災マップを引っ張り出して確認してしまいました。危ない、危ない (^^;)。
そこで今回は、避難行動でとまどわないように、
避難する前に知っておきたい基本的な情報をいくつかご紹介していきたいと思います。
目次:
大震災を経て整備が進む避難所。
東日本大震災の二年後、2013年6月に災害対策基本法が改正され、避難場所と避難所、さらに避難所における生活環境の整備が進められることになりました。
ここで質問です。「避難場所」と「避難所」の違いをご存じですか?
そこで、ちょっと整理してみました。用語の全国統一も図られていますが、まだ地域ごとに呼び方が違うかもしれませんから、お住まいの市町村の防災マップなどで名称と役割をご確認ください。
※市町村から指定されていると「指定避難場所」「指定避難所」と呼ばれる。
東日本大震災では自宅で安全に待機できる人も避難所へ殺到し、家を失って行き場のない方々が避難所に入れなかったケースもあり、避難の順序を周知することも重要なポイントとなりました。
※災害の状況や、津波など災害の種類によっては行動順序が異なる場合があります。
※避難場所と避難所が役割を兼ねる場合もあります。
避難所生活を乗りきる10のヒント。
避難所生活の資料には、生々しい体験談もたくさんありました。そして、非常事態だからこそ、ルールやマナーが大切なのだということを知らされました。以下に掲げた10のヒントはそのほんの一部ですが、よく考えたら、普段の生活の中でも実践したいことばかりです。
①ゆずり合いの精神を忘れない。
②お互いのプライバシーを尊重しよう。
③自分勝手な行動をとらない。
④小さい子ども、高齢者、妊婦、障害者には気配りを。
⑤何か一つは役割を持とう。
⑥助けてほしい時は遠慮せずに声を出そう。
⑦同じ姿勢のまますごさず、体を動かそう。
⑧トイレをがまんしない。
⑨トイレやゴミ捨てのルールを守って、清潔な環境を保つ。
⑩火気厳禁。喫煙は指定の場所で。
耐震補強で、避難する確率を少しでも減らす。
さて、最後に地震が発生する前の「防災」「減災」という観点に立ち返ってみます。
というのも、避難所生活をしないですめば、それに越したことはないからです。
おすすめは、このコラムで何度もご紹介しているように、やはり「耐震診断」→「耐震補強」です。
耐震診断を受けると、建物の強さが点数で表されます。建築基準法で定められている最低限の家の強さ「評点1.0」を基準に、安全性の度合いと地震での想定被害を見てみましょう。
※参考文献:在来軸組み住宅における一般診断の評点と損傷度の関係
耐震改修促進のための意志決定支援ツールに案刷る研究(その1)
名古屋工業大学 井戸田秀樹、嶺岡愼悟、梅村恒、森保宏 日本建築学会構造系論文第612号pp125132
2007年2月
家の耐震強度が高ければ、外へ避難するまでの時間が稼げます。
一方、家が無事で当面安全であると判断できたなら、避難所には行かない「在宅避難」の選択もあります。在宅避難の人が増えれば、それだけ避難所のスペースを本当に必要な人が使えるということにもなります。(在宅避難であっても、情報収集や支援物資の受け取りなどのために地域の避難所を利用することができます。ただし、避難所のルールに従うことを忘れないように!)
大震災の教訓! 避難所生活の厳しい現実①~③・まとめ
大震災が教えてくれたこと、それは「地震には何段階もの対策で備えておきたい」ということです。
今後予想される巨大地震では、被災地も広範囲にわたるでしょう。自助・共助・公助がバランスよく支え合うことで、避難生活の厳しさを少しでもやわらげることをめざしたいですね。私たちウッドピタも、耐震補強を中心に、さまざまな地震情報を発信することで、対策の一翼を担えればと願っています。
参考文献:「避難所における良好な生活環境の確保に向けた取組指針」内閣府 平成25年8月