こんにちは。
東日本大震災から4年、余震がまだ続いていて心配です。
地震大国・日本
皆さんのご自宅はもう耐震診断を受けられたでしょうか。
耐震診断を受けると、その結果は耐震診断書として渡されます。ところが、「耐震診断書の見方がわからない!」という質問が当社にもよく寄せられます。そこで今回は、ウッドピタ事業本部のある名古屋市の書式を例に、どこで何を確認すればよいのかを見ていきたいと思います。
目次:
↓ 耐震診断の判定は 4段階。ボーダーラインは総合評価1.0
耐震診断の判定は 4段階。ボーダーラインは総合評価1.0。
初めに見たいのは総合評価の数値です。
例では「0.17」になっていますね。すぐ下に判定結果もあります。
「倒壊する可能性が高い」
「えーーーーーーーっ!」
なかなかショックな判定ですが、気を取り直して、別紙の詳細を見てみましょう。
総合評価の数値は、上部構造評点のうちの最小値です。上部構造とは壁や柱など家の構造物のこと。必要耐力(Qr)とは震度6強の地震で建物が倒壊しないために必要な力を数値で表したもので、それに対する現状の耐力(実際に建物が保有している力)の割合が上部構造評点です。
0.17というのは、必要な耐力の17%しかないということなんですね。数値ではっきり出ると、危険性に説得力があります!
ちなみに、一番低い数値を取り上げるのは、最悪の場合を想定し、もっとも弱い部分で判定するためです。判定は4段階。上部構造評点が1.5以上は「倒壊しない」。1.0~1.5未満は「一応倒壊しない」。0.7~1.0未満は「倒壊する可能性がある」。0.7未満は「倒壊する可能性が高い」となっています。
診断書からわかる、わが家の現状。
診断書には、現地調査の結果が記載されています。
基礎や屋根・壁の仕様など、建物の現状の概要がわかります。この建物概要から、結果を悪くしている要因が見えてきます。
特に注目したいのが、建物の重さという項目です。建物の重さが「非常に重い」と判定されています。建物の重さは「軽い建物」「重い建物」「非常に重い建物」の三段階で判定されます。すぐ上の項目に、屋根仕様「土葺屋根瓦」、壁仕様「土壁」とあります。“土葺”とは、瓦の下に大量の土を置いて屋根を葺く昔ながらの方法です。屋根に土がのっている・・・考えただけでも重そうですよね。建物の重さは耐震性と深く関わっています。重い建物は、判定を悪くする要因の一つです。
次に、診断書に添付されている平面図を見てみましょう。この建物は1階の東西方向(診断書ではX方向と表されます)の評点が1番低くなっています。平面図を見るとこの建物は特に東西方向(X方向)に壁がほとんどありません!さらには、東側に比べて、西側にはぽっかりと全く壁がないスペースがあり配置のバランスが悪いことも分かります。これも耐震性を悪くしている要因の一つなのです!
劣化や地盤・地形・基礎からも弱点が見えてくる!
耐震診断では、劣化度もチェックしていきます。
昭和56年以前の旧耐震基準で建てられた木造家屋は経年劣化も進んでいますから、木材が腐食しているかもしれません。金属部分はサビついているかもしれません。逆に「うちはまだ新しい家だから大丈夫」と思っていても、シロアリの被害が発生しているかもしれません。いずれも地震時には家屋倒壊の引き金になりかねない危険性をはらんでいます。
また、とかく建物部分だけに目がいきがちですが、足元の土台や、家が建っている地盤や地形について、私たちは案外知らないのではないでしょうか。耐震診断書には、上部構造とは別に、地盤、地形、基礎についても評価されていますので、それもちゃんと見ておきましょう。液状化の心配も含めて、耐震診断はわが家の現状とじっくりと向き合うよい機会になると思います。
建物の基礎部分にクラック(ひび割れ)が入っています。
耐震補強の方法&費用は一例と考えて。
ところで、判定結果とともに気になるのは、耐震補強の必要性の有無と、それにかかる費用だと思います。(総合評価が1.0以上でも、安全性が高いというだけで、補強がまったく必要ないわけではありませんので、ご注意を!)
補強が必要な場合、耐震診断書には大まかな補強(改修)計画と概算工事費が載っています。 補強に関してのアドバイスもいろいろ記入されています。耐震診断書を受け取る時に、耐震診断員より補強工事の説明も直接ありますので、併せてしっかり把握しておきましょう。大切なポイントはメモを取り、後日になっても確認できるようにしておくと便利です。
ただ、補強は耐震診断書に書かれている方法だけとは限りません。
耐震診断書に書かれている補強工事箇所数・費用は、いわゆる「在来工法」で工事した場合のものです。「在来工法」とは、①壁に強い板(構造用合板)を貼ったり、筋交いを入れて今ある壁を強くする ②壁のない部分に壁を作り、壁量を増やす ③建物の構造部分(柱・梁・土台等)に金物を取り付け、接合部を強くする、などの方法で耐震性を上げていく一般的な方法です。
また、診断書の費用は、あくまで耐震補強にかかる費用が算出されているだけなので、それ以外の費用(例えば基礎補強や耐震補強に伴って発生したリフォーム工事、設計費や工事に関わる諸経費など)は含まれていません。ご注意を!
補強工事は方法によって費用も必要な日数も異なります。補強方法は今説明した在来工法以外にも様々な工法があります。家計のやりくり、毎日の生活への影響、本当に信頼できる工法かどうかなどを考えて、よりよい方法を見つけてください。
「でも、どうすればいいのかわからない」…と思ったら、自治体の窓口や専門家に相談されることをおすすめします。
補強工事に対する補助金制度も各自治体で設けられています。
耐震診断書から見えてくる、わが家の弱点・まとめ
難しそうな耐震診断書も、ポイントをおさえて見ていくことで、徐々に理解が深まっていきます。
わからない点があれば、わからないままにせず、耐震診断員や当社のような専門家にどんどん相談してください。
そして、もし総合評価が1.0未満なら、先延ばしにせず、診断結果を基に計算された補強計画をベースに、補強工事に取りかかりましょう。
自分自身と大切な家族のために。
そして、万一の時には共に助け合うご近所の方々のために。
耐震診断や耐震補強については当社も様々な情報を発信しています。よろしければチェックしてみてください。
株式会社ピタコラム ウッドピタサイト おすすめコンテンツ
・耐震診断はこちら
・簡易耐震診断はこちら
・住まいの耐震チェックはこちら
・耐震セミナー&相談室はこちら
参考資料
名古屋市耐震診断報告書作成シートの概要および診断結果報告書の見方