目次:
↓ 新耐震基準でも平成12年以前に建てられた木造住宅は安心できない?!
↓ こんな建物が地震に弱い! あなたのお住まいはどうですか?
こんにちは。
前回は1・17阪神・淡路大震災を振り返って20年前の記憶を新たにしました。
来月には3・11東日本大震災の日を控え、身も心も引きしまる思いの2月です。
被災された方々のご苦労に思いを馳せるとともに、私たちは震災から得た貴重なデータを次へと生かさなくてはいけません。
昭和56 年以前の木造住宅は耐震診断をぜひ受けて!
阪神・淡路大震災の被害データの中で気になるものを見つけました。
倒壊等の被害が昭和56年(1981年)以前の建物に集中していることです。
これは単に古い建物だからというだけでなく、建てた当時の耐震基準に理由があります。
昭和56年5月31日までの旧耐震基準は「震度5強程度の地震でほとんど損傷しないこと」が求められました。
それ以降の耐震基準、いわゆる新耐震基準(昭和56年6月1日以降)はそれに加えて「震度6強に達する程度の地震で倒壊・崩壊しないこと」が求められています。
つまり、建築年数が地震に強い家かどうかを判断する大きな手掛かりになるわけです。
もし、あなたの家が 昭和56年以前に建てられたものなら、まずは耐震診断を受け、早めに地震対策をしてください。
新耐震基準でも、平成12年以前に建てられた木造住宅は安心できない?!
では、昭和56年以降に新耐震基準で建てられた木造住宅であれば、安心なのでしょうか?
実は、阪神・淡路大震災を契機にさらに耐震基準が見直されているのです!
阪神・淡路大震災が発生したのが、平成7年1月17日。その大きな被害を受けて、さらに厳しく耐震基準を見直しました。
その改定が、平成12年(2000年)なのです。ですから、平成の建物でも、平成12年以前に建てられていれば、注意が必要なのです。
実際に、新耐震基準で建てられた建物でもなんと84.43%が現行の耐震基準を満たしていないという調査結果※1も報告されています。
よくわかる!耐震基準改定ポイント!
では、上記で述べた耐震基準の改定時に何が見直されたのでしょうか。
昭和56年の新耐震基準への改定ポイントは、必要な壁量(力)の規定が大きく見直された点です。地震の揺れの力に抵抗するのは壁です。この壁の量が多ければ多いほど、地震に対して抵抗する力を持ちます。さらに、壁の量だけでなく壁の強さ(力)も関係します。壁を作る際に、柱と柱の間に斜めに入れる部材=筋交いが入っていたり、強い板=構造用合板が使われていると、より地震に抵抗する力は強くなります。
平成12年の現行の耐震基準への改定のポイントは、①壁の配置バランス ②接合部の2点です。壁がたくさんあっても北面ばかりに偏っていたり、南面に縁側があって大きな掃出し窓があるなど、配置のバランスが悪いと、地震が発生した際に建物がねじれるように揺れ、倒壊する危険性が高くなってしまいます。平成12年の改定ではこの危険性を減らすために、配置基準が具体的に定められました。
また、壁の力がいくらあっても、その柱と土台や梁などの接合部が弱いと意味がありません。地震の揺れによって、接合部が破壊され引き抜けてしまい、建物が倒壊する危険性が高くなってしまうのです! なので、この接合部の仕様(どのような金物を使うか等)は計算によって決定することが規定されました。
こんな建物が地震に弱い! あなたのお住まいはどうですか?
建築年によって木造のお住まいが地震に弱いかどうか、ある程度見当が付くということは、ご理解頂けたかと思いますが、具体的にどのような建物が地震に弱いのでしょうか。
・全体の壁の量が少ない・・・部屋と部屋が襖などで仕切られていて壁がほとんどない
窓が多い
・建物の配置バランスが悪い・・・南面の縁側部分に大きな掃出し窓が連続してある
吹き抜けがある
・屋根が重い・・・屋根に土が敷いてある、重い屋根瓦が使われている
・接合部に金物を使っていない
・基礎がブロック、束石
・建物自体に経年劣化がある・・・基礎や壁に部分に亀裂が入っているなど
皆さんのお住まいはいかがでしょうか? 当てはまるところはありませんか?
まずは、自分の家が大地震に対してどのくらい耐える力があるのかを知ることから始めましょう。
その第一歩が住宅の耐震診断で、どの部分がどれだけ地震に弱いのかを数値化してくれます。耐震診断には、自分でもできる簡易診断法(耐震診断を受けたほうがよいかどうかを判断する)、耐震診断員が2~3時間かけて現地を調査する一般診断法、そしてさらに精密な精密診断法があります。自治体等で行われるのは主に一般診断法で、無料(昭和56年以前に建てられた建物に限る自治体が多いですが)だったり、補助金制度があったりしますから、ぜひ耐震診断を受けてみてください。
平成12年以前の木造住宅は耐震診断を!まとめ
30年以内に約70%の確率で発生すると予測される南海トラフ巨大地震では、茨城から沖縄まで、震度6弱以上の揺れが懸念されています。昭和56年以前に建てられた家、あるいは平成12年以前に建てられた家では、経年劣化も加わって、被害拡大の恐れが高くなっていきます。
大地震が起きてからでは遅いのです。
まずは、耐震診断を受けることが地震対策の第一歩!
次回は「耐震診断書の見方」を具体的にご紹介していきます。
耐震診断や耐震補強については当社も様々な情報を発信しています。
よろしければチェックしてみてください。
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参考資料
「南海トラフ地震防災対策推進基本計画」中央防災会議(内閣府)
「自宅や周囲にある建物は大丈夫? 住宅・建築物の耐震化のススメ」政府広報 暮らしのお役立ち情報
「住宅・建築物の耐震化について」国土交通省 Webサイト