目次:
↓ 耐震診断済なのに補強工事に踏み出せない3つのケース
↓ ケース1. 耐震診断書の見方がよくわからない
↓ ケース2. 負担金額が大きく現実的でない
↓ ケース3. 工期が長い、室内に入られることに抵抗感がある
こんにちは。
2014年11月22日夜、長野県北部を震源とする最大震度6弱の大地震が発生しました。正式な名称は「長野県神城断層地震」、地震のタイプは直下型。死者が出なかったのは不幸中の幸いでしたが、重軽傷者は46名に達しています(2014年12月16日時点)。
津波よりも恐ろしい? 内陸部・直下型地震の破壊力
直下型地震で思い起こされるのはやはり、ちょうど20年前、1995年1月27日に発生した阪神・淡路大震災です。
阪神・淡路大震災の震源の深さが約17kmだったのに対し、今回の長野北部地震は深さ約5km。地震そのものの規模(マグニチュード)は阪神・淡路大震災より極めて小規模だったにも関わらず、震源直上の一部地域に甚大な被害と強大な破壊力をもたらしたのは、今回の長野北部地震が内陸部の活断層による「震源の浅い地震」だったからでしょう。内陸に起きる直下型地震は、東南海地震などの発生率に比べると非常に低いと言われています。それでもひとたび発生すると、とてつもなく大きな被害をもたらしてしまうということを、今回の地震であらためて認識させられた次第です。
実は見つかっていない活断層がいっぱいの国・ニッポン
長野北部地震の最大震度は6弱。しかしながら、人的被害・建物被害が最も大きかったのは「震度5強」と計測された白馬村でした。
白馬村は神城断層付近に位置する村です。政府の地震調査委員会は、今回の地震は「逆断層型」で、日本最大級の活断層・糸魚川―静岡構造線活断層の一部である神城断層が動いた可能性が高いと報じました。地震後の映像を見ると、道路のアスファルトが剥がれたり、大きな亀裂が生じたりと、まさに断層が動いた証を目の当たりにさせられました。「活断層はそれほど気にすることはない」という専門家の方もいらっしゃいますが、こうした映像を見てしまうと、やはり不安です。
ところで日本に活断層はいくつあると思いますか? じつはよくわかっておらず、調査も非常に難しいようです。文部科学省は110か所の主要活断層についての調査と地震発生確率を発表していますが、それ以外にどれだけ活断層があるのかは正直わかっていないのが実情です。もしもあなたのお住まいの下が活断層だったら・・・地震への心構え、ちょっと変わってきますよね。
直下型地震への備えの第一歩は「耐震診断」を受けること
人は健康を保つために、まずはお医者様の相談を受けたり、健康診断を行ったりします。そこで健康上の問題が見つかると、さらに精密な人間ドックで検査を受け、場合によっては治療や手術へ進みます。建物も人と一緒で、まずは現状をしっかり把握することから始めます。それが耐震診断です。
ウッドピタで耐震診断をされたお客様の中には、実際に断層型の地震を経験された方も多く見えます。三河エリアにお住まいのA様は、まだ戦時中の1945年に発生した三河地震を経験されました。その経験から地震に対しての恐怖感をずっと持っており、1981年(昭和56年)以前の旧耐震基準で作られたご自身の住まいの耐震性がずっと気になっていたそうです。
そんな時、A様は自治体の無料耐震診断制度のことをお知りになり、早速耐震診断を受けてみることにしました。結果は案の定、必要な耐震性能は兼ね備えておらず、それをきっかけに耐震補強をより具体的に考え始めたそうです。
耐震診断済なのに補強工事に踏み出せない3つのケース
A様は耐震診断を受けた後、補強の必要性を感じ、すぐに補強工事に進まれました。しかしながら、行政や自治体が実施している無料耐震診断を受けた後、診断結果が悪かったにも関わらず、具体的な工事の検討に至っていない方が非常に多くいらっしゃるようです。その理由として、以下のような3つのケースが考えられます。
ケース1. 耐震診断書の見方がよくわからない
行政や自治体の無料耐震診断を受けると耐震診断書(耐震診断結果報告書)が発行されます。そこには「上部構造評点」という数値が記されており、対象の木造住宅が倒壊するかしないかをその数値から判断します。木造住宅に必要とされる耐震性能は上部構造評点1.0以上が目安となります。
耐震診断後には必ず耐震診断員から説明がありますが、「この後どうすればいいかわからない」「迷っているうちにどんな補強が必要か忘れてしまった」という声がよく聞かれます。
ケース2. 負担金額が大きく現実的でない
耐震診断後、耐震診断員の説明から補強工事の必要性は十分認識できたのですが、経済的な理由で先に進めないことがあります。全国の自治体では、そんな耐震補強の負担を軽減するために『補助金制度』を設けています(補助金額は各自治体で異なりますので、詳しくはお住いの自治体窓口、またはウッドピタにお問い合わせください)。
しかしながら補助金の申請が可能なレベルの補強計画は、補助金があるといえども負担金額も大きくなり、現実的ではないケースが見られます。そんな時は、「倒壊を免れるための最低限度の補強工事で済ます」という選択肢もあります。
ケース3. 工期が長い、室内に入られることに抵抗感がある
いざ耐震補強工事を進めるとなると、予算はもちろんのこと、工期についても考えなければなりません。工事にかかる時間は規模によって異なりますが、室内工事を伴う大規模な工事となると、一般的に1.5〜2か月程度と言われています。そうなると、工事期間中の仮住まいをどうするか、どれくらい立ち合いが必要なのかなど、考え事も増えるばかり。
また、「室内に作業員が入るのはちょっと…」という声もじつは大変よく聞かれます。内部補強を伴う耐震計画の場合、どうしても室内に作業員が入らねばなりません。その煩わしさやストレスを考えると、「今回はやめておこうかな」「地震なんて、来るときは来るし」というように、耐震補強について後ろ向きに考えてしまいます。その気持ち、よくわかります!
だからといって耐震補強を先延ばしにするのは危険です。当社で扱っているような、短工期・室内工事不要の外付け耐震補強工法などもありますので、「耐震補強は大変」という先入観を、まずは捨ててほしいと思います。
直下型地震への備え・まとめ
今回は長野北部地震のニュースを取り上げ、活断層のズレによる直下型地震の恐ろしさと、地震に対する備え・心構えについてまとめました。
私たちにできる一番の地震対策は、まずは地震について関心を持つことだと思います。以前放送されたテレビ番組で「2014年11月に大地震が来る」という予言が流れ、心配して当社にお電話をくださったお客様もいらっしゃいます(本当に長野に地震が来てびっくりされていました!)。
地震のこと、耐震のこと、工事のこと、もっともっとみんなで考えていきましょう!