こんにちは。
今月の17日で、阪神淡路大震災から24年がたちました。
南海トラフ地震や首都直下型地震などの巨大地震発生が引き続き懸念される今、
改めて防災意識を高め、住宅の耐震化に取り組むべきだという機運が高まっています。
そこで今回のコラムは、住宅の耐震化最初のステップである耐震診断についてです。
耐震診断とは、すでに建っている建築物の構造強度を調べ、
今後起こりうる地震に対する耐震性を計算、建物被害の程度を数値的に把握する作業のこと。
今回は、その中でも特に一般診断法と精密診断法の違いについて深堀したいと思います。
目次:
↓ 耐震診断方法ってどんなもの? 一般診断法と精密診断法の違いと特徴・まとめ
目視を中心とした診断 一般診断法
耐震診断の方法には一般診断法と精密診断法があります。
まず、一般診断法から説明していきます。
一般診断法は、住宅の外観や軒下、天井裏の非破壊での目視による診断法です。
建物の外側と内側を目で見て耐震性を診断します。(ごく稀に部分的な解体調査が必要になる場合もあります)
その際、参考にするのが住宅の図面。
図面と比較して、壁や窓の位置が変わっていないかをチェックしていきます。
もし家の図面が残っていなければ、寸法などを測って新たに簡易的な図面を作成しなくてはなりません。
その分、時間と費用がかかることがあります。
また図面がある場合でも、建物の仕様や診断に有効な情報(壁の中に筋かいなどの補強材が入っているか、天井や屋根裏に火打ちなどの耐震性を高める材料が入っているか、基礎に鉄筋が入っているかなど)が記載されていなければ正確な診断は難しくなります。
そのような場合、建築時期などを手掛かりに仕様を推測するか、
天井裏や床下を覗ける範囲で覗いてみるなどの非破壊検査を行って判断することになります。
壁や床、天井などを取り外して内部構造を確認する破壊検査は基本的に行いません。
一般診断にかかる時間は 『一般財団法人 日本建築防災協会の研修マニュアル』で、2~3時間程度とされています。
一般診断法での耐震強度の評点計算には、行政診断において主に、四分割法という計算方法を用います。
建物を縦・横に四分割した領域にわけて1階・2階ごとに耐力壁の量やバランスを計算して判定します。
内部構造まで詳細に確認する 精密診断法
一般診断法が目視中心であるのに対して、精密診断法は必要に応じて壁や天井などを剥がし内部の構造を確認する、より詳細な診断です。
一時的に破壊した箇所は、後に点検口にしたり補修して塞いだりします。
解体道具や補修用工具の他に、懐中電灯やドライバー、鉄筋探知器、非破壊検査機器など多くの道具が必要で、半日から1日程度の作業時間を要します。
精密診断用の計算プログラムは、(財)日本建築防災協会が認定している計算ソフトを使用。
建物全体の耐力壁や水平剛性、劣化状況などを勘案して保有耐力を算出します。
補助金の対象となる診断ソフトを確認しよう
全国ほとんどの自治体で、耐震診断を対象とした補助金制度が設けられています。
条件は自治体や年度、建物の規模などによって異なりますが、
金銭負担を大きく軽減するような助成を受けられるケースもあります。
ここで注意していただきたいのが、補助金の対象として
特定のソフトを用いた耐震診断を指定している自治体もあるということです。
耐震診断を考える際には、事前に自治体の窓口で要件を確認しておきましょう。
参考:一般財団法人日本建築防災協会 木造住宅耐震診断プログラム評価
http://www.kenchiku-bosai.or.jp/evaluation/木造住宅耐震診断プログラム評価/評価実績/
耐震診断方法ってどんなもの?
一般診断法と精密診断法の違いと特徴・まとめ
ご紹介したとおり、一般診断法のメリットは、低コストで診断にかかる時間が短いこと。
精密診断法のメリットは、より精度の高い結果が得られることだと言えます。
一般的には、木造住宅の耐震診断に一般診断法を、公的な建築物の耐震診断に精密診断法を用いる場合が多いようです。
どちらの診断方法で診てもらうかは、各自の判断になりますが、補助金等をうまく活用し、是非とも有意義な耐震診断を行っていただきたいと思います。
耐震補強の基本は、建物の現状をまず知ること。
日本の建物が、1軒でも多く耐震化されることを願っております。