こんにちは。
2016年4月14日と16日に発生した熊本地震から2年が経過しました。
益城町を中心に甚大な被害をもたらしたこの大地震。
多くの負傷者を出す原因となったのは、木造住宅の倒壊でした。
そこで今回は、耐震・防災への意識を今一度高めていただくために、
木造住宅倒壊のメカニズムから、どんな建物・間取りが地震に強いのか
を考えていきます。ご自身の家を振り返りながら読んでみてください。
目次:
木造住宅の耐震は接合部と壁に要注意
まず、地震によって木造住宅がどのように倒壊するのか。その仕組みを理解しましょう。
木造住宅の倒壊1つ目の原因は、接合部の引き抜けです。
新耐震基準で建てられる現在の家屋は、ホールダウンなどの
構造金物といわれる金具で基礎と柱を固定しています。
この接合部の強度が不十分だと、地震の揺れによって柱が基礎から引き抜かれ、
倒壊の原因となります。
2つ目の原因は、建物が揺さぶられることによる壁の崩壊です。
例えば、
・2階に比べ、1階に強い壁が少ない
・2階に比べ、1階の面積が小さい
・瓦などで、屋根が重い
などといった構造の家の場合、建物のバランスが悪く、
地震の力で強く揺さぶられると全体に歪みが生じ、弱い壁から損傷が始まります。
地震に負けない家を建てるには、建物の横からくる力を支える筋交いや構造合板を組み込んだ
耐震性の高い壁、いわゆる『耐力壁』をバランスよく配置することが重要となります。
重心と剛心を近づけて揺れを抑えよう
建物のバランスを考える時、知っておきたいのが
『重心』と『剛心』という概念です。
重心とは、建物の重さの中心。剛心は建物の強さの中心を表します。
剛心は、耐力壁の配置によって位置をある程度コントロールすることができ、
振り子の仕組みのように、重心と剛心の位置が近いほど、地震の際の揺れが小さいとされています。
反対に、壁の配置が一方向に偏った建物は、剛心が重心から離れてしまい
地震の際の揺れが大きくなって倒壊の危険性が高まります。
つまり、耐力壁をバランスよく十分に配置し、
建物の重心と剛心を近づけてやることが、地震に強く倒れにくい家をつくる秘訣というわけです。
地震に強い間取りの特徴
それでは具体的に、どのような間取りの家が地震に強いのかをご紹介していきます。
まずは何度も繰り返すように、『耐力壁が多い家』です。
壁が多ければ、地震の際も屋根の重みをしっかりと支えることができます。
近年主流になってきているツーバイフォー(2×4)工法の家も、地震に強い壁の多い家。
逆に、窓が多い間取りや、地震時に負荷が集中する部屋の角に窓が配置された間取りは
比較的、耐震性が低い構造だといえます。
次に、『部屋の数が多い家』です。
部屋数が多いということは、複数の柱、梁、壁がぎゅっと詰まった構造であるということ。
その分、耐震性は高くなります。一方、ひと部屋が大きかったり、吹き抜けがあったりする家は、
開放感を得られますが、地震に対する抵抗力は弱くなってしまいます。
最後に、『正方形に近い家』です。
正方形に近い家には、1階と2階の部屋をおおよそ同様に仕切るための柱が入ります。
2階の主寝室が1階のリビングダイニングと同じ位置にあったり、
2階の子供部屋が1階の和室と同じ位置にあったり。
このような間取りで、土台から二階まで継ぎ目なしに一本で通した柱を通し柱といいます。
通し柱により1階と2階が一体となっている家なら、
地震の力を全体で効率よく分散することができます。
反対に、極端に細長い間取りや複雑な形の間取りの家は、
地震が起きた際、負荷がかかる箇所に偏りが生じます。
壁の短い辺や、接合部に負荷が集中すれば、そこから破損し、倒壊につながるメカニズムです。
わが家は大丈夫?
地震に強い間取りと壁の重要性・まとめ
それでは、今回のまとめです。
木造住宅倒壊の主な原因は、接合部の引き抜けと壁の崩壊。
特に壁は耐震における大切な要素であり、
耐力壁をバランスよく配置して建物の重心と剛心を近づけることが重要です。
また、壁を多用した部屋数の多い間取りで、正方形に近い構造の家ほど地震に強い家だといえます。
住宅の購入や住み替え、リフォームを検討している方は、今回のコラムを参考に、
施工会社などとよく相談をしながら、耐震性能の高い住まいを目指してください。
なお、耐震診断や、耐震補強もくれぐれもお忘れなく。そちらについては、本コラムの『耐震診断』
『耐震補強』のカテゴリーをチェックしてみてください。
私たちウッドピタは、耐震補強のプロフェッショナルとして、
皆さんの安全を守れるよう、今後もあらゆる情報を発信していきます。
是非とも日頃から高い防災意識をもって、いつか起きるかもしれない災害に備えておきましょう